
岡潔博士の「自然科学観」、「自然科学は間違っている」:いや〜〜、実に鋭い!
Kazumoto Iguchi's blog 2013年 07月 08日
父の言葉
日本人が櫻が好きなのは其の散り際が潔いからである。
−− 岡潔
みなさん、こんにちは。
今回は、日本の世紀の天才数学者、
のことをメモしておこう。私はこの人のファンである。
岡潔(故人)
というのも、数学者でありながら、自然科学にも独特の思想や観点を持っていたからである。それも、実に挑戦的かつ批判的かつ破壊的観点を持っていた。ここがすばらしい。何事も新規なものはいったんすべてを破壊しない限り生まれない。そこを十二分に理解していたということである。
もちろん、岡潔博士は数学以外のほとんどすべてにも精通していた。特に、仏教思想にも西洋思想にも詳しかった。そんなものは、以下のサイトに詳しい。
数学者岡潔思想研究会
岡潔博士は、数学において、たったの10通の論文しか公表していない。しかしながら、この10通は全部続きものであり、全部合わせると電話帳ほどの厚さになる。(もちろん、私は手元に持っている。)そして、そのそれぞれが、あまりに完成度が高く、欧米の偉大な数学者たちも舌を巻くほど、どころか、畏敬の念で、「私にはそんな論文は書けない」と言わせてきたものである。それほどの深さと美しさと簡潔さとを兼ね添えた論文として知られている。
(この岡潔の論文作りの方法すら実に興味深いものだった。コンピュータのない時代に、手書きで、まず日本語で何度も何度もいったん完成したものをまったく新しくはじめから全部書きなおす。それを繰り替えして一番優れたものを、今度はフランス語に書き直す。そしてまた何度も最初から書き直す。こんなことを何年も続けて、やっと1通の論文を書く。まさに書き上げる。パソコンでちょこちょこっと書いてハイ終わりの昨今の学者にはできない芸当である。現代の学者たち、己のインチキを恥じ入ろうではないか。)
そして、いま岡潔の業績としてよく知られているのは、その一連の論文の一番初期のもののテーマである。「層」の概念というものである。英語では「sheaf(シーフ)」という。このシーフ理論、または、「層の理論」を作り、それを使って、「多変数複素関数論」というまったく当時手につかなかった世界をほぼ一人で完成してしまったのが、この岡潔博士であった。(あとは、いまだ手付かず。理解できる数学者は皆無に近いと言われている。その意味では宝の山である。)
この一変数(一個の複素数)の場合を完成したのが、かのオイラーであった。複素数(z = x+ iy)という世界を初めて導入し、数学のすべてを作り替えたのであった。
このオイラーの自然な拡張を行ったのである。すると、多変数の複素数を扱うわけだから、さまざまな問題、それもだれも聞いたことも見たこともない状況が、その都度出てくるのである。
普通はそうなると「難しい」、「無理だ」、「時代が早すぎる」とかいって、自分にすぐできることでごまかすのだが、岡潔博士は、そういうことを一切せず、寝ずの集中力で一つ一つそれを切り開いていったのである。
この集中力は「3日寝ずに考えた」とか「時には一週間寝ずに考えた」というレベルである。だから、時に普通の人には「不可解な人物」に見えたのである。精神病院送りになりそうなことも何度もあったという。
そんな感じの真に学究らしい学者であった。
その岡潔博士が生前あらゆる場面で現代物理学に対してきわめて辛辣な意見を持っていたのである。もちろん、当時「夢の原子力」と言われた、当時の最先端のものに対してもそうであった。
いったい30年足らずで何が分かるだろうか。わけもわからずに原爆を作って落としたに違いないので、落とした者でさえ何をやったかその意味が分かってはいまい。
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