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アナスタシア② 抹殺されたシベリア杉の伝承  zeraniumのブログ H.25/09/22

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 アナスタシア② 抹殺されたシベリア杉の伝承


 響き渡るシベリア杉 シリーズ1
『アナスタシア』 ウラジーミル・メグレ著 ナチュラルスピリット 抜粋


zeraniumのブログ 2013年9月22日 (日)

   ノヴォシヴィルスクから戻った私は、航行中のさまざまな商売上の処理に没頭していたので、途中で出会ったあの奇妙なシベリアの老人のことはすっかり忘れていた。そして私は身体に突然の激しい痛みに襲われ、入院することになった。居心地のいい病室の静けさの中で、私は4ヶ月にわたる多忙なざわめきから遮断された。病院の贅沢な個室で過ごす時間は、これまでの遠征の成果を分析したり、新しい企画を考えるための素晴らしい機会だった。

   しかしなぜか私の脳裏には、あの奇妙なシベリアの老人たちと彼らの言葉ばかりが浮かんできて、それ以外のことを考えることはなかった。私は病院のスタッフに頼み、杉の木に関する文献を取り寄せてもらった。私はシベリア人から聞いたことと、文献に書かれていることとを知るにつけ、彼らの言っていた内容に改めて驚嘆し、それを信じるようになっていった。つまり、彼の言っていたことの一部と文献が合致しているのなら、そのすべてが本当なのではないかと考えたのだ。


   民間療法に関する書類には、杉の木のもつ癒しの特性について多くのことが書かれていた。たとえば、「杉はその針状の葉から樹皮にいたるまで、すべての部分が高い癒しの効果を持つ」、「シベリア杉材は見た目にも美しく、名匠の手にかかれば優れた木彫品や家具となり、楽器の共鳴版にもなる」、「杉の針状葉の部分は、高レベルのフィトンチップを含み、汚染された大気を浄化する」、「杉の木材は、特有の芳しいバルサム樹のような香りを放つので、家の中に小さな木片を一つ置くだけで蛾を寄せ付けない」etc.

   他の科学雑誌には、北方地方に育つ杉は南方に育つものよりも、癒し効果においても、木材としても品質が著しく高いと書かれている。ドイツの博物学者ピーター・シモン・パラスの1972年の著書には、シベリア杉の実には男らしさや若さを取り戻す働きや、身体の各器官の抵抗力を増し、多くの病から人体を守る働きがあると書かれていた。さらに直接あるいは間接的に、杉にまつわる不思議な現象が歴史上たくさん起きているということが、さまざまな文献に記されていた。一つ例を挙げると、次のような話がある。

   ロシアの傑物と言われる「グレゴリー・ラスプーチン」は、読み書きがわずかしかできない農民の出であった。1907年、彼が50歳のときに、シベリア杉の群生する森の、人里離れた村から首都ペテルスブルグにやって来た。そして皇帝に謁見する機会を得たが、その的中する予言で皇帝とその家族を驚愕させた。彼はまた並外れた体力と活力の持ち主であり、人々が彼の暗殺を試みたとき、銃弾を蜂の巣状に受けた体でまだ生きていたという逸話がある。これは彼がシベリア杉の生い茂る地域で、杉の実を食べて育ったからではないだろうか。

   当時のジャーナリストたちは、彼の驚異的なスタミナについて次のような記事を書いている。「50歳という年齢で、彼は飲めや歌えの酒宴を正午に始め、午前4時まで飲み続ける。その後、どんちゃん騒ぎと酩酊状態から抜け出してまっすぐ教会の早朝祈祷会へ行き、そこで朝の8時まで立ったまま祈る。それから帰宅し、お茶をして何ごともなかったかのように、午後の2時まで来客の応対に忙しい時間を過ごす。それからご婦人方数人を選び、彼女たちを従えて温泉浴場へ出かけて行き、そのあと郊外のレストランへと車を走らせる。そこで彼は前の晩と同じことを繰り返すのだ。普通の人間はこのような日課はこなせない」

   そしてもう一つの文献が聖書であった。
   旧約聖書のモーセ五書のうちの一つ、レビ記の14章に、らい病を清める方法が記されているが、そこにはなんとシダー、つまり杉を用いて清めると書かれているのだ。さらに住居のデトックスの方法までも書かれている。こうしてさまざまなソースから集めた事実や情報を比較するうちに、他の多くの奇跡と言われるものも、シベリア杉の持つ不思議な力の前では色褪せて見えてきたのである。旧約聖書には杉の木が42回出てくるが、ほかの木についての記述はまったくない。つまり彼らは、杉の木の持つ驚嘆すべき力について知っていたのである。

   では杉とは何なのだろうか。
   なかでもあの老人たちはなぜ、さまざまな杉の中からリンギング・シダーを選んだのか。疑問はそれだけではない。旧約聖書には杉について謎めいたことがいくつか記されている。それはソロモンがエルサレムに、かの有名な杉の神殿を建てるまでのいきさつである。ソロモンは神殿建設のために必要なレバノン杉を、ツロの王ヒラムを通して手に入れ、そのお返しにガリラヤの地にある自分の領地内の20もの街を、ヒラム王に譲ったと記されている。

   これは信じがたいことではないか!
   いくら貴重で最良の品質であるとはいえ、木材はしょせん単なる建築資材である。しかもそれと交換に20もの街を交換してしまうとは!

   さらにソロモン王はヒラム王にさらなるお礼として、杉の木を切り出すヒラム王の僕たち、つまり「木を切るに巧みな者たち」への賃金も別途支払い、自分の僕たちも彼らの見習いとして一緒に働かせると約束したとある。ここはソロモン王がレバノン杉に対して抱いていた思いの強さがはっきりとわかる場面である。現在でも人里離れた奥地には、優れた木を選ぶ特別な技能を持つ老人がいるという話を聞く。おそらく3000年以上も前のその頃には、誰もがそういう能力を持っており、中でも特別な力を持っていた者が選ばれていたようだ。

   リンギング・シダーは、ある種のエネルギーの貯蔵庫になっているとあの老人たちは言っていた。レバノン杉とシベリア杉のどちらがより強力なエネルギーを持っているのだろう。ドイツの科学者パラスによれば、杉の癒しの特質は、その生育地域がツンドラの森との境界線に近くなればなるほど増大すると言っている。この説によれば、シベリア杉のほうが強力ということになる。

   今まで誰もこうしたことに気づかなかったのだろうか?
   ロシアの宗教家イワノフナ・ローリッヒは彼の著書「リビング・エシックス」の中で次のように述べている。「杉の樹脂を入れた聖杯はかなり古くから用いられており、古代コラーサーン(現在のイラン北東部)の王たちが清めの儀式をするときに用いていた。またドルイド教の僧たちも杉の樹脂を入れた聖杯を用いており、それが「命の聖杯」と呼ばれていた。後に宗教から霊的な気づきが失われてから血の盃に代わった。ゾロアスター教の火の礼拝も、聖杯の中で燃える樹脂を用いて行なわれていた」

   こうした先祖たちが持っていた、杉の特性やその用い方などの知識について、これまでいったい何が伝えられてきたのだろうか? それとも何も受け継がれてはこなかったのか? あのシベリアの老人たちは杉について何を知っているのだろうか? そんなことを思いめぐらすうちに、突然、何年も前のことが記憶に浮かび上がり、私は鳥肌が立った。

   私はペレストロイカの初期の頃、シベリア企業家協会の会長を勤めていた。
   ある時、西側諸国の大企業の有名な経営者を迎えて会議が開かれるので、それに参加するようにと要請を受けた。我々はいつものように、協力関係の模索に関する話し合いをした。中でも特別に思い出すのは、西側の著名な経営者だという、頭にターバンを巻いたその人物が、「我々はあなた方から杉の実を購入することを考えている」と言ったときのことである。

   彼はこう言った瞬間、明らかに緊張を隠せない様子で、そこにいた企業家たちに素早く鋭い視線を走らせながらみなの反応を観察していた。私はなぜ彼が、そのように突然態度が変わったのかを不思議に思ったので、その時のことをよく覚えている。会議の後、その客人は通訳を連れて私のところにやって来た。そして新鮮な杉の実を自分のところに手配する仕事を、内密に私に依頼したいという。もし引き受けてくれるなら公の価格に加えて、かなりのパーセンテージの金額を私個人に支払うというものだった。そして杉の実はトルコに送ってほしいと。彼らはそこで何かのオイルを製造していると言ったが、私は少し考えさせて欲しいと答えてその場は終わった。

   私は彼らがつくっているオイルが何なのか探ることにした。
   世界標準とされているロンドン市場では、杉の実のオイルは1キログラムあたり500ドルすることがわかった。しかし一方我々は、杉の実1キログラムあたり2ドルから3ドルで取引させられようとしていた。私はワルシャワにいる知人に連絡をとり、この杉の実のオイルを直接顧客に販売する方法はないか、またオイルを抽出する技術を見つけられないかと尋ねてみた。1ヵ月後に回答がきて、「解決策は見つからなかった。抽出技術にもアクセスできない。この問題については西側諸国ですでに大きな集団が動いているので、忘れたほうがいいだろう」というものだった。

   そこで私は古くからの友人で、ノヴォシビルスク消費者協同研究所にいる研究者を訪ね、購入した杉の実を持ち込んで研究を依頼し、研究費を支払った。彼らは記録文書を調べて次のような新たな事実を突き止めた。「革命以前と以後にわたり少しの間、杉の実のオイルを扱う組織がシベリアに存在していたが、ハルビン、ロンドン、ニューヨークなどに置いた事務所を通して彼らは巨額の金を儲けた。しかし革命後、この組織は解体され、関係者は海外に逃れて移住した」

   この強力な杉の実はシベリアで育ち、オイルの製造はトルコで行なわれているというのはどういうことなのか。そもそもシベリアで見られる多種多様な杉は、トルコには存在しない。ワルシャワの友人は、何を指して「西側の集団」と言ったのだろうか。どうしてこの問題を追及してはいけないのか。その集団というのが、並外れた癒しの力を持つシベリアの産物を、タイガから持ち出しているのではないか。何百年、何千年にもわたって認められてきや驚異的な癒しのオイルを、その貴重な財産を国内に所有していながら、なぜ我々は西側から入ってくる医薬品に何百万ドル、いや何十億ドルもの金を支払い、分別なく愚かにそれを飲み込んでいるのか。

   なぜ我々は祖先が持っていた知識を失ってしまったのか。
   それも遠い祖先ではなく、我々と同じ世紀に生きた近い祖先もその知識を持っていたのだ。いったいどんな集団が、我々の記憶から祖先たちが持っていた杉に関する知恵を拭い去ろうと執拗に働きかけてきたのか。それだけではない。彼らは我々がこの問題に入ってくるのを阻止しようとし、すべてを消し去ることに成功してきたのである。

   さらに私は薬局で、杉オイルが輸入品として売られているのを見つけたときには、怒りが頂点に達した。私は30グラムの小瓶を1つ買い成分を調べたところ、オイルはほんの2滴しか入っていなかった。おそらく残りは薄めた化学物質だったと思われる。しかもこのたった2滴のオイルが、なんと5万ルーブルで売られていたのだ。もしこれを海外から買わずに自国で販売したら、シベリアに住むすべての人の暮らしがこのオイルだけで豊かなものになるはずだ。

   まだ何か取り戻せるはずだ、と私は考えた。
   私はオイルの製造を自ら手がけて、会社を大きくしようと考えた。そしてオビ川を北へ下る遠征をもう1度やろうと決断したのだ。そのうちに警備員からの情報では、私はどうやらつけられているようだと確信するようになり、特に私が河岸で過ごすときが要注意のようだった。しかもその尾行の目的は不明であり、その背後でどのような連中が動いているのかわからない。私はどうすべきか考え抜いた末、あることを決断したのだ。

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