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あの取次最大手、本業赤字転落が激震!出版業界、ついに本格的崩壊開始の予兆 Business Journal 2015.12.02

Business Journal

 あの取次最大手、本業赤字転落激震!
 出版業界、ついに本格的崩壊開始予兆



Business Journal 2015.12.02


日本出版販売本社(「Wikipedia」より/Koh-etsu)

「なんじゃ、こりゃあ」

 刑事ドラマの名作『太陽にほえろ!』のジーパン刑事こと、故松田優作ばりの叫び声を思わずあげてしまったのは、11月25日、出版卸業(取次)最大手の日本出版販売(日販)が2015年上半期中間決算(4~9月)を発表した日の夜だった。

 筆者がその夜、目にしたのは、日販の「事業別損益内訳」という表で、そこには同社単体の上半期業績の数字が並べられていた。

・売上高:2399億1800万円(前年比171億5200万円減)
営業損益:3億300万円の赤字(同4億4800万円減)
・経常損益:1億3300万円の赤字(同4億6400万円減)


 なんと、日販の本業である「出版取次事業」が営業損益ベースで赤字になっていたのだ。しかも、本業が赤字になったのは、どうやら初めてというのだ。

 2000年に京都の老舗書店・駸々堂書店の自己破産時に、創業以来初の最終赤字の決算(00年3月期)となったが、そのときですら営業損益ベースは黒字だった。というのも当然で、当時は出版取次業で得た利益を、取引先の倒産による膨大な特別損失が上回ったことによる赤字だった。ただ、不良債権化した書店などの取引先や業績の悪い関連会社の始末に追われていたのも事実で、日販の財務体質が2大取次のもう一方の雄・トーハンよりも脆弱になったのは、その処理に不動産等の「資金」を投入したためともいわれている。

 日販の15年上半期の業績が厳しいものになると聞いてはいたが、まさか赤字とはわが目を疑った。業界紙や同社ホームページで発表された単体の決算は以下のとおりで、決して誉められた数字ではないが、見事黒字になっているからだ。

・売上高:2431億2300万円(対前年比171億6700万円減)
・営業利益:2億8600万円(同3億2500万円減)
・経常利益:7億5000万円(同2億8500万円減)

 前述した事業別損益内訳との乖離が生じている理由は、出版取次事業と「その他(不動産・PPT他)」事業を合算すると、上記のように黒字になるためだ。ちなみに「その他」の業績は以下のとおり。

・売上高:32億400万円(対前年比1500万円減)
・営業利益:5億8900万円(同1億2300万円減)
・経常利益:8億8400万円(同1億7800万円減)

 不動産等のその他事業の売り上げは、本業の1.3%にしかすぎない。たまたま今回は黒字になっただけだろう。

 出版流通の危機的状況

 中堅老舗出版社の取締役は語る。

「今年6月に民事再生を申請した栗田出版販売の救済に手を上げた日販の子会社・出版共同流通が、最終的に提示された再生案から外れていた。大阪屋1社がスポンサーになるという案に変わっていたのは、今思えば、赤字のせいで栗田救済の数億円をねん出できなかったからだろう」

 また、ある出版社の営業幹部は語る。

「日販は、返品を減らして売り上げを上げた結果、得られた利益を書店にも還元するというビジネスモデルを出版社と書店に提案した最初の取次。売上面でも最大手だったトーハンを抜いて、出版業界のリーディングカンパニーとして、他取次との返品業務の協業化など流通改善を進めてきた。とくに40%近くもある返品率は業界3者(出版社、取次、書店)にとって共通の“克服課題”。書籍25%、全体で30%などに書店の返品率を抑えるため、PARTNERS契約を結んで返品抑制に努めてきた。ライバルのトーハンと比べて、日販の返品率は低いのはそのためだ。だが、そこまでやっている最大手の取次が営業赤字になったというのは、出版流通の破たんを意味しているのではないか」

 出版社で40年業界経験のある幹部は語る。

 「昨年は大阪屋、今年は栗田と、業界3位と4位の取次が事実上、経営破たんした。大阪屋は楽天が筆頭株主となり、出版社などが出資をして救済。栗田はその大阪屋に吸収合併するという民事再生案が今年のクリスマスイブに諮られる。それ以下の取次では、一時は400億円以上もあった売り上げが半減以下の177億円になり、赤字を垂れ流し続けている太洋社もいい話は聞かない。協和出版販売はトーハンに吸収合併されたし、一昔前は業界3位だった中央社も今やトーハンの傘下。日教販も日販と資本業務提携している。出版取次の名だたる8社の現状は、こんなにもひどい状況になってしまった」

 書店の廃業も加速

 市場が縮小する中では、大手と中小企業の合併・提携によるグループ化が進むか、グループに入れない企業は廃業するしかない。ライバルのトーハンとは別に、大阪屋や栗田などと組む日販陣営は返品業務の協業化を進めてきている。

 それでも赤字になったのは、市場縮小のスピードに業界の改革が追い付かないからだ。それは日販の単体の営業利益の推移をみれば一目瞭然。

・11年度中間決算:16億2900万円
・12年度同:12億6800万円
・13年度同:12億400万円
・14年度同:6億1100万円
・15年度同:2億8600万円

 きれいに右肩下がりが続いているうえに、8%に消費税が上がった14年度は前年に比べて半減、15年度も半減以下と非常に厳しい状況に置かれている。

 14年度を境に業績の落ち込みがひどくなったのは、書店の転・廃業に原因がある。消費増税を機に書店の廃業が前年よりも増えている中、日販の取引書店の坪数増減は14年度中間がマイナス2933坪、15年度中間が同3519坪と2年連続で増床坪数よりも減少坪数のほうが上回ってしまった。これは日販帳合の書店の売り場が2年連続で急激に減ったことを意味している。

 その一方で改革の一端をみてみよう。

 10年にスタートしたPARTNERS契約は、15年中間期において書籍の返品率は38%、雑誌は36.7%。書籍25%の返品を目指して達成できた書店法人はたった2法人。出版社との契約社は97社(前年比8社増、シェア56.2%)という程度に留まっている。返品率は5年かけても30%台後半、出版社との契約もシェアでみて半分、社数では100社未満という少なさだ。誉められた数字とはいいがたい。

 ある取次の幹部は語る。

「日販は、縮小する市場の中でもシェアさえ確保していれば利益は保たれると考えていたのだろう。2大取次としては当然の発想かもしれないが、今回の中間決算で社員数など現在の企業規模を維持するだけの収益をもう上げられないことが判明した。これまで彼らは返品を抑制するために書籍・雑誌の送品を絞り続けた。返品を多少下げたものの、劇的には下がらなかった。さらに、送品減で市場全体を縮小させるようコントロールしてきた。

 だが、いくら送品を減らしても、返品を減らしても、返品物流を協業化しても赤字に陥ってしまった。それは低迷し続ける雑誌という媒体の流通=多頻度・大量流通を前提に書籍などの商品を送り込む中で、個別商品の返品を抑制・削減するという手段では、その効果は限定的にしか発揮されないからではないだろうか。言いかえれば、雑誌はどうあがいても縮小していくし、雑誌の実売数や媒体数が減れば減るほど、取次の利益率は悪化していく。

 であればもはや発想を変えるときだ。
 この多頻度・大量流通に依存しない送返品のシステムを構築していく必要がある。
 そのためには、出版ビジネスの根幹である書店の書籍仕入値、正味に手をつけなくてはならないだろう」

 取次幹部の指摘はもっともだろう。
 すでに大量消費の時代は終わっているし、雑誌を前提とした販売方法を捨て去らなくてはいけない時代に突入している。
 出版流通システムだけがその考えを維持していても、生じる齟齬がどんどん大きくなるだけだ。
 赤字になった今だからこそ、新しい流通システムを提案できるのではないか。


 正味戦争

 雑誌流通に依存しない書籍の流通を考えると、まずは書籍版元の正味の大幅引き下げの要請が起きてくるだろう。
 まさしく、一昔前に起こった“正味戦争”が勃発するだろう。
 正味交渉次第で、出版社は当然、本の定価を上げざる得なくなる。そうなれば、もっと読者は遠ざかり、真の読書好きしか、本を購入しなくなる。
 それが負のスパイラルとなって、出版社の経営を苦しめる。今以上の人員整理など企業規模の縮小を余儀なくされるだろう。当然、取次も書店も同じだ。ますます縮小するが、雑誌の滅亡とともに、その衰退も落ち着いてくるだろう。

「出版界の将来の市場規模は、1兆円くらいではないか。私が入社した頃がそれくらいだった。まだまだ書店が潰れ、取次が潰れ、出版社が潰れていく。今の半分くらいの出版点数とプレイヤーになれば、市場は下げ止まるのではないか」

 40年以上も出版業界に携わり、すでに引退している取次幹部の独り言が現実味を帯びてきた。

(文=佐伯雄大)


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